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事例紹介

イノベーションを推進する人材交流~ 出向による人材育成の場としてのJdex

イノベーションを推進する人材交流~ 出向による人材育成の場としてのJdex
沖電気工業株式会社 技術本部
2021年~現在

沖電気工業株式会社(OKI)は1881年、日本で最初の通信機器メーカーとして誕生しました。 電話機製造という未知の領域に積極的にチャレンジした創業者沖牙太郎の「進取の精神」を受け継ぐ企業理念のもと、社会インフラを支える商品・サービスの提供を通してさまざまな社会課題の解決に取り組んでいます。

日本データ取引所には、様々な分野でのイノベーション創出を目指して研究・開発を行う「技術本部」からOKIの社員が、「在籍型出向」という形で常駐しています。この人材交流はどのようにはじまり、同社にどのような貢献をもたらしたのでしょうか。

事前に持っていた課題

日本データ取引所とOKIの人材交流がはじまったのは、当社代表取締役森田を社内講演会の講師としてお招きいただいたことが、きっかけでした。森田からはデータ利活用の状況や手法、そして自社プラットフォームである「JDEX」を活用したビジネスの展望についてお話をしました。

当時OKIではオープンイノベーションに対する全社的な課題を持っていました。中でもデータ利活用の分野については、社会インフラの様々な場所に流れるデータについて、更なる活用の方法を模索している状況でした。

パートナーとなる他社のデータまでをも統合するような広い視点をもちながら社会インフラ事業を強化することが望まれる一方、データと事業の関係を再構築することは難しく、データ活用がなかなか広がらないという状況でした。

文化・マインドの転換を含めてデータ利活用を推進するために、データ活用の先端を行くベンチャー起業家と机を並べて、一緒に仕事をしてもらいたい。日々どんな考え方や意思決定を行っているかを見ながら、その雰囲気を直に感じてもらいたい。そういった想いで、協業の議論をしていた日本データ取引所に若手を派遣し、業務がはじまりました。

日本データ取引所を選んだ理由、そして実際にやってみて

折しも「データ流通」「データ取引」がビジネスメディア等で話題になっていた時期。日本データ取引所を派遣先に選んだのは、データプラットフォームビジネスを推進していこうとする森田の姿勢への共感、そしてこれからの日本においてデータビジネスを牽引する中心的な存在になるだろうという予感があったからでした。そういった理由から、2021年から実際に人材交流がスタートしました。

最初の出向者として日本データ取引所に来てくださった奥谷大介さんはもともとOKIの社内外でデータ分析やAI活用をしていた研究開発部門のホープでした。知見を社外でのプロジェクトにも活かす場がないかと考えていたところに人材交流がはじまり、世のデータをマネジメントするというスコープを持っていた日本データ取引所に共感を覚え、自ら出向へと名乗り出ました。

奥谷さんはすぐに日本データ取引所のデータマネジメント案件に参加し、AIを利用したソリューション提案の要として活躍しました。大企業とは求められる事業の規模感が異なり、さらに実験的な事業がゆるされるような土壌が、日本データ取引所にはありました。

また、奥谷さんにとってこの出向は、お客様と密にコミュニケーションを取りながら提案を進める貴重な機会となりました。これまでのデータ分析業務ではお客様とお話する機会をあまりとってこなかったため、自分が窓口となって要望に対して「出来ること」「出来ないこと」を整理しながらお伝えする経験は奥谷さんにとって大きなプラスとなりました。

コロナ禍の最中であったこともあり「机を並べて」とはいきませんでしたが、チャットツールやWeb会議システムを駆使して行われるスピーディな意思決定は、ベンチャー企業ならではの体験でした。また、コロナ禍の以前から全社員がリモートワークを実施しており、全国各地に社員が居住している日本データ取引所の社風は、大いに刺激になりました。

協業を通して起きた変化、今後の展望

次のOKI社員へとバトンタッチをして出向期間を終えた奥谷さんは、センター内に新設された先行開発の部署へと異動し、プロジェクトチームを率いることになりました。お客様への価値提供を目指して研究成果の事業化を目指す先行開発の現場で、奥谷さんが日本データ取引所から持ち帰ったお客様とのコミュニケーションの経験やチームマネジメント能力は、大きく役立っています。

一方でオープンイノベーションの考え方やデータ文化の社内への浸透は道半ばであり、やるべきことが数多くあります。社内の技術を統括する「技術本部」は、研究開発のインプットとアウトプットの両面でオープンイノベーションを推進し、それと合わせて会社全体へのデータマインドの醸成を目指しています。

いつかは大きなプロジェクトをご一緒できることを願いつつ、これからもOKIと日本データ取引所の人材交流は続きます。

お客様からのコメント
ベンチャー企業への在籍型出向を実施したのは、日本データ取引所が初めてでした。常にデータ取引の最先端に立つ同社には、そこにある課題に向き合っていく土壌があります。弊社の社員がそういった場所での経験を持ち帰り、広い視点を持って新しい事業を切り拓いていることから、この人材交流には大きな価値があったと思います。データ売買のプラットフォームである「JDEX」についても、大きなポテンシャルを持っている事業だと感じています。同じ方向を向いている者同士、中長期的にご一緒していければと考えています。
前野蔵人様 執行役員、技術責任者、技術本部長
弊社で研究開発に携わる社員は、お客様と会話をして課題を聞き出し、それを解決して対価を得るという一連のビジネスに直接関わる機会がほとんどありません。そのため、日本データ取引所での活動は、出向した社員にとって貴重な経験となっています。またJdexのビジネスに貢献することで、社員が自分の知識や技術力に自信を持つことにより成長を促されることが期待できます。このようにJdexへの出向はOKIにとっても大きなメリットであり、今後もこのような人材交流を継続していきたいと思います。
須崎昌彦様 技術企画部データマネジメント室 室長
2年間データ分析・利活用の案件へ全面的に関わらせていただき、当初の「データ分析の知見がOKIの外でも通用することを試したい」という想いは達成することができました。また私が出向したのはコロナ禍の時期ではありましたが、全国各地から社員がリモートで業務を回していくというJdexの体制であったからこそ、コロナの影響を感じることなくお客様と密に関わることが出来たのだと思います。多様な人材が揃っていること、機動力の良さ、これが日本データ取引所の強みだと思います。
奥谷大介様 先行開発センターセンシング先行開発部アナリティクス技術チーム

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